チネイザンは自己修養の道

CATEGORYコラムチネイザン
こんにちは。
土屋しずかです。

チネイザンのコラム今回(3回目)は、
”プラクティショナーとして
気功で自分を磨くことがなぜ大切か”  について、

“Healing From Within”の抜粋からの翻訳です。

チネイザンはクライアントに自己認識や洞察力をもたらす、腹部からのヒーリングであるということは前章で述べてきました。そしてそのためにプラクティショナーは、まず自分自身の洞察力を高めたり気を扱うことができるようにならないといけません。

またクライアントが自分自身の健康に責任が持てるよう、セルフケアの方法や自己修養について指導するということもプラクティスに含まれてきます。

この章では、なぜ、そしてどのように自己修養をしていくのかについてお伝えします。

自分を養い修練していく

自己修養(自己修練)はガーデニングのようなものです。私たちは知識やよりよい習慣・生き方、知恵、バランスの取れた感情、精神的なガイダンスが得られるよう、自分に種を蒔き、雑草を刈り取り、水や肥料を与えます。それは最善の自分、本来の自分になっていく変容のプロセスとも言えます。

プラクティショナーはこのような自己修養にコミットし、そしてそうすることで、周りの人たちも健康的に人生の目的に向かって進むべき道を進むようになれるのです。

自己修養することで私たちは成長します。

それは癒しの道であり、成長するとともに、自分を見失い悶々とすることは少なくなっていきます。自己を磨いていくことで、内的な摩擦を引き起こしている状態から抜け出していくことができるためです。

自分を高めるということを続けていくと、学んだり成長することに対する秩序や決意のようなものが、ゆっくりと、確実に育ってきます。

厳しすぎることも急ぎすぎることもなく、かといってゆっくりすぎて分らなくなくなることもなく。決意や信頼  (自己修養は多くの努力を伴うという自分に対する信頼)を持って、やさしく徐々にに進むことが望ましいのです。

そんなふうにしていくと、自己修養は、その人の生き方そのものになっていきます。

タオイストの錬金術を通して
ヒーリングのエネルギーを高める

ヒーリングに携わるプラクティショナーにとって、気を修練すること(気功)は基本的なことでありとても大切なことです。

修練とは、気を育て磨きをかけていくことです。そしてその気の修練は、内側の錬金術、つまり内丹術のことを指します。錬金術とは一般的に粗悪な金属からゴールド(金)を精製していくことと理解されていますが自己修養における比喩的な意味で使われる場合、エネルギーの変換や精錬のプロセスを意味します。

粗悪な金属とゴールドのエネルギー的な違いとは何でしょうか?

粗悪な金属は気を伝導しにくい。発熱して終わってしまいます。電気式のヒーターは充分な量を送り込めないためヒートアップすることが多くオーバーヒートが起こります。多くの電力を運ぶためにはゴールドのようなすぐれた伝導線が必要になります。

これを私たちの身体に当てはめると、気の錬金術を行うことで、プラクティショナーは自らの気を精錬し、良質で多くの気を流すことのできる身体を作ることができるようになるということです。

漏電やメルトダウンすることなく、より多くの気を蓄え、洗練されたものにしていく身体ができてくるのです。

そしてその身体づくりは、タオの瞑想やチネイザン、気功を地道に行うことによってもたらされ、成果を出せるかどうかは日々の練功にかかっています。

これはトリートメントを行ううえで、充分な気が必要とされるプラクティショナーにとって、とても重要なことなのです。

同調性を高める

気を充分に精錬させて養うということの他に、プラクティショナーは自らのヒーリングや自己修養にも心を配る必要があります。クライアントへのコーチングも、自らの気功の体験が豊かであるほど説得力を増します。

そしてプラクティショナーがジャッジのない(批判のない)態度でクライアントに接する時、クライアントも自己批判することなく自分自身を感じることができるのです。

そういう場が作り上げられた時に、プラクティショナーとクライアントの間に信頼感が生まれ,複雑で難しい状況においても、シンプルな技法がトリートメントの効果をあげてくれます。

このような同調性の原理を、普段からプラクティスに組み入れるとよいでしょう。

(気功を行なっていない)プラクティショナーは「気は流れる」ということに気づいていなければいけません。気がプラクティショナーからクライアントに流れなければ(そしてこの流れが正しいのですが)逆の流れを辿り、プラクティショナーにリスクを与えることになります。

このような流れ(クライアント→プラクティショナーへの気の流れ)が起きた時、クライアントの状態は、満足し楽になることもあるでしょうが、ぐったりとした消耗感や、混乱・不調をもたらすことも起こりえます。

気の流れを増す

プラクティショナーはトリートメント中、リラックスしていることが大切です。そうすることで気が流れ、腹部を感じやすくなり、オープンで敏感でいられるのです。そしてやさしいタッチがとても重要です。

お腹の内側に深く入っていくためには、指が柔らかくなくてはいけません。クライアントが感じるべきなのは、自分自身の内側であって、プラクティショナーの指の力ではありません。

(私が)柔らかさをもって強さを発揮するアートは、武術から学んだ部分が大きいです。それは意図する力であり、”意”という漢字であらわされます。この漢字は3つの部分から成り立っています。一番上は意識/意志(立)、真ん中は目(日)、そして下はこころ(心)です。

何事に於いても、意識を持って、感覚と共に、心を注いでいくと、物事は成功します。その時、気の流れはオープンです。そこに力(筋力)は必要とされません。

パワーを与えるのは気であり、気は筋肉がリラックスしている時に流れます。パワーを保つためにも筋肉はゆったりとリラックスしていなければいけません。プロのアスリートは筋肉が瞬時に収縮するのと同じぐらい、リラックスする力が大切だということをよく知っています。

タオの哲学の古典に  ”真の力は水の如し”と書かれています。水は力を加えることなく沈みます。水は抵抗することなく行くべき道を進み、波に乗って進みます。

チネイザンのプラクティショナーも、この水と同じパワーを手につけるといいでしょう。そしてセッションを効果的に行うための、気が流れるための、ソフトで液体のように滑らかな指も必要です。

またトリートメントの間は、リラックスして自分のセンターから自然に動いているか、身体の重さを使って動いているかを確認してください。

自らがリラックスしてセッションを行うことで、クライアントをリラックスさせ、気の流れを増し呼吸を深めることができます。リラックスしているということでオープンになり、それによってプラクティショナーは、洞察力と純粋な探究心をもってセッションに臨むことができるのです。

“Healing From Within”  Gilles Marin
North Atlantic Books, 1999

**バークレーにインスティチュートとクリニックをもつ師 Gilles Marinによる書籍 ” Healing from With with Chi Nei Tsang” の内容は、私にとってチネイザンの教科書。施術者向けに書かれた内容で大切なことがたくさん盛り込まれています。少しづつ、シリーズにして抜粋して書き起こしています。(師から許可を得て載せています)

チネイザンインスティチュート公式サイト
https://www.chineitsang.com/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です