内臓のフィットネス

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こんにちは。
土屋しずかです。

チネイザンのコラム、翻訳シリーズの今回(16回目)は、デトックスを終えて”内臓の力を高めていく”ことや”食”の内容に入っていきます。

“Healing From Within with Chi Nei Tsang” (Gilles Marin著)の抜粋からの翻訳です。前回の記事はこちらをご覧下さい。

内臓の強さと質感

私たちは体の中に感じたくない部分ができてしまうと、そこから自分を切り離してしまいます。そしてこの分離感が生命力(気)の流れもブロックしてしまいます。

前の章でも述べてきたように、このブロックが、体に詰まりや停滞をもたらし、老廃物を溜め込み、消化作用をも妨げてしまうのです。そして、感情のわだかまりを保っておくために、そこを一生懸命ぎゅっと硬くしているのです。そうなると気は流れなくなり、臓器は適切な栄養を受け取れなくなります。硬くしていることによってエネルギーを奪われ、弱まっていくのです。

動きや気づきをブロックしてしまう慢性的な収縮は、組織を固くしてしまいます。筋肉の痙攣を引き起こしたり、筋や腱を縮こまらせてしまい、これは筋肉の萎縮、機能の減退として体感されます。

例えば下腹部にブロックがあると、大腰筋が硬くなり収縮してしまうことがあります。この収縮がパターン化すると、腰椎の筋肉が補正しようとして、反り腰になったり骨盤を傾斜させたりするのです。

逆に内臓に力がなくなる可能性も出てきます。腹圧を保つことができなくなったり、特に生殖器の組織が弱って力が感じられないこととして体験されることがあります。膀胱、子宮や膣、前立腺などに力が無くなってしまうのは、そこを流れる経絡の気に詰りができてしまうからです。

これらのパターンは体の他の部分でも体験されます。

首の慢性的な凝りは、喉を弱めてしまいます。横隔膜の慢性的な収縮は肝臓、腎臓、膵臓、そして消化器系を弱めてしまいます。体のいかなる収縮や強張りも気の流れをせき止めてしまうのです。気は筋膜を通して経絡を流れるということを覚えておいてください。慢性的収縮があるとき、筋膜は固くなり動きは妨げられ、癒着のリスクが高まります。

また、体が弱まる別の理由として、体の中のコミュニケーションの欠如と不十分な情報ということも挙げられます。体の組織のどこかがうまく機能していないとき、まずは大きな枠で体の働きを捉えて見ていかなければいけませんが、たいがい私たちは何かのせいにできるものを見つけ、責任をそれに押し付けようとしがちです。

これでは体のある部分に罪をきせるだけになってしまいます。それは正しい判断ではありません。でも私たちはこれをよくやっているんです。

こんな例があります。

クライアントは便秘を抱えていて、チネイザンを受けにきます。

便秘だからと大腸を悪者にするのは、請求書を運んできてくれた郵便配達人を責めるのと同じです。郵便受けの請求書は、郵便局から送られ、請求先の会社から送られ、税金がかかっていて、それを購入したデパートなり購入先があり、商品がある…といった複雑なプロセスを経て届いているのです。

同じように便秘も、大腸の蠕動運動を含む様々な働きーーー呼吸や、胆嚢からの胆汁の分泌、リラックスした胆管の動き、副交感神経の働き、などと関わっているのです。大腸以外の消化管の自然なリズムとも。それは食べ物を口に入れること、咀嚼すること、食べ物の量、食事の質や満足度、食事をしているときの気持ちの状態、、これらも消化・排泄のプロセスに関係してくるのです。

食材の準備や、調理の際にどんなムードで作っているか、誰が食材を選んだか、、など、これら全てのことが消化に影響しているのです。

代謝をするということは、 ”人らしく生きる” 体のネットワークの働き全ての結果なのです。

慢性的な便秘において、コロンクレンジングで腸を洗浄するやり方もありますが、それは大腸に正常な動きを教えることにはなりません。しかも「排泄しなくても大丈夫ですよ」というメッセージを大腸に送ることになり、その働きを逆に弱めてしまうかもしれません。

体の機能を自然体に導く際に、本来体が作り出せるものをサプリメントで補ったり、外的方法で補う時には、体の力を奪わないように注意を払ってください。それらのやり方を体がどう感じるか、体がそれによって力を取り戻せるのか、注意深く感じてあげる必要があります。

内臓をコーチング

肉体が健康でしっかりと動けるためにエクササイズが必要なように、老廃物を抱え込んでいた内臓にも同じようにエクササイズが必要です。内側の働きをあげるためには、代謝率が上がるようなリズムを各臓器につけていくトレーニングが必要です。

臓器が力を取り戻すトレーニングは、アスリートのコーチングと似ています。

内臓ができる以上のものを強制することはできません。そうすると逆に弱ってしまいます。トレーニングはじっくりと、機能が確実に回復していることを観察しながら行うことです。やり過ぎは内臓を弱めるためよくありませんが、充分でないこともまた、自己満足で終わり回復を助けてくれません。

どういうことかと言うと、詰まってしまっている大腸の蠕動運動を促そうとすることや、老廃物がいっぱいの肝臓や胆石が詰まっている胆嚢を動かそうとすることは、お勧めできません。それにはまずデトックスが必要です。(注**前章でもまずはデトックスが大切と書かれています)体に充分な力がつき、内臓も元気になれば、毒素が体内に回ってしまうことはなくなります。

これはよく聞く体験談ですが、チネイザンのセッションを数回受けたクライアントは、これまで食べたり飲んだりした量を食べられなくなった(飲めなくなった)と言います。以前より酔いが早く回ったり、消化不良の症状が早く出たり、体に良くないものはすぐに吐き出したり、食べ過ぎると下痢をして出してしまう、、など、体の反応が早くなっているのです。

一般的に、内臓が健康でクリーンで強くなると、食への感じ方が一変します。これまで食べたくてしょうがなかったものが食べたくなくなったり、嫌いになったり、より健康的なものを欲っするようになります。体が一旦強さを取り戻すと、その状態のままでいたいと思うのです。

ーーー次回へ続くーーー

 “Healing From Within with Chi Nei Tsang”
by Gilles Marin
   North Atlantic Books 1999

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